3/06/2010

ジープ島でドルフィンスイム


久しぶりにジープ島に行ってきました!
2月に2週間滞在していました、私にとってはちょ~短期ですが。

この時期は貿易風が強く、乾季なのですが雨にやられる日がありました。
透明度は夏よりはるかに良いのですが。

冬といっても紫外線はめちゃ強いので、お客様はこんがり!

お昼寝はヤシの木の下ですね!
高いヤシは実が落ちたら危険なので×です。

ドルフィンスイム、風があり、波があったため探すのが大変!
現地人ガイド、ナミにお願い!
凄い!波の中、水中のイルカを発見!!考えられない距離でも見つけてくれます!思わず、チップを弾んでしまった!!!

おなじみのニモのグループ5頭と2回ほど遊んできました。
2年前の調査ではまだまだ若い固体でしたが、ずいぶん立派になっていました!

写真のイルカは違う個体です。
ニモは左ヒレが奇形で小さいのですぐに分かります。

私の持っているジープ島周辺の個体識別表では残念ながらこのイルカは確認できませんでした。

ダイビングのお話は次回。



ジープ島に行ってみませんか?

御蔵島ドルフィンスイムツアー

こちらはダイビングもドルフィンスイムもできる
三宅島ダイビングツアー

イルカと泳いでみませんか?

3/05/2010

イルカの一生

双子誕生!とは海の中ではいかないようです。シャチが双子を育てた記録がありますが、大概の場合は出産前に死んでしまうそうです。母親が2頭を育てられるほど海は優しくないのかもしれませんね。

赤ちゃんイルカは母親のお腹の中で親の1/3のサイズまで成長して、尾びれから生まれてきますが、これは窒息を防ぐためです。しかし、それ以上に大変なのが、温度差で、37℃ほどの母親のお腹から、冷たい海水に出てくるのですから。プールに入る前に水を胸についけなさいといわれた覚えがあると思いますが、それよりはるかに冷たい!はず。この身体への衝撃はイルカ人生最大のものだと思います。

出産後は4ヶ月~数年にわたり、母親の脂肪分30%前後のミルクで育ちますから、陸上の哺乳類より早い速度で成長します。最初の特徴的な成長は、生まれる時、邪魔にならないように柔らかかったヒレで、生まれるとすぐに背びれや尾びれの硬度が増し、泳ぐことができるようになります。しかし、上手とはいえない泳ぎなので、最初のうちは母親や姥の手助けが必要です。それと、上あごなどに良く見れる体毛が抜け落ちます。(毛穴がふさがらないので、感覚器としては残ると思います)
子供のイルカは母親からミルクをもらう時、舌をすぼめて乳首をうまく捕らえるといわれています。これにより、ミルクと海水が混ざらないようにしているようです。しかし、舌を丸められる器用なイルカの仲間は全てではないようです。吸うことはできないようで、母親が乳腺の周りの筋肉でミルクを押し出しているそうです。授乳の瞬間は無防備になりやすいので、ほんの僅かな時間(数秒)ですがこれも、ミルクの脂肪分が高い理由の一つかもしれませんね。

授乳の後は離乳食ですが、イルカの仲間は離乳する前に固形のエサ(親と同じもの)を食べ始めます。両方の栄養の摂取を何年も続ける仲間もいます。しかし、餌場と繁殖地を回遊するイルカの仲間は、餌場ではどうしても離乳しなければなりません。母親は次の繁殖に向けて準備が始まるからです。

そして親へ。繁殖できる年齢は種類によってまちまちです。メスは最初の妊娠以来、子供を産む数は減少しながらも常に妊娠と子育てを続けるそうです。(ほとんどのイルカの仲間)

乱獲時代、種の存亡が危機にさらされた時、成熟年齢は低下したそうです。たくさん産まないと、種が滅びますからね!

死を迎えるとき。自然死は捕食されるか病気かです。捕食の例は、シャチにより捕食されるシロナガスクジラなど。病気には、癌や潰瘍、心臓病に肺炎、関節炎などのがわかっていて、その原因として寄生虫があげられており、感染がひどくなり病気の引き金になっているといわれています。
野生のイルカの寿命はわかっている種類はあまりいませが、短い物だと10~15歳、長いと70歳といわれています。時々、イルカの寿命は○○年と書いてあるサイトを見かけますが、飼育下の話だったりします。野生動物の場合、寿命と言う言い方は難しく、捕食されたりしますし、海棲動物の自然な状態での観察は難しいのではっきり分からないのが現実です。

さて、この死のもうひとつの原因は人間です。人間が原因の自然でない死、不自然死が良くわかっていません。捕鯨に関してははっきり数字で出るのですが、船との事故、海洋汚染、廃棄されて魚網に絡まっての死(幽霊漁法と言われてます)などはっきりしません。人がクジラ・イルカ類に与えた死は、過去の大量捕鯨と、今の環境破壊(これは全ての生き物に当てはまるでしょう。)によるものです。ビニールやプラスティック片などを飲み込み、胃や腸を詰まらせて死んでしまうものもいます。


  1. イルカのことをもっと知ろう
  2. 海棲哺乳類と分類/海棲哺乳類は大きく分けて3種類
  3. イルカの進化/どんな進化で今のイルカ・クジラに?
  4. イルカの泳ぎ/イルカの水中での動きについて
  5. イルカの潜水/なんであんなに深く、長くもぐってられるの
  6. イルカの五感+二感/特殊(?)な感覚、不思議な感覚器
  7. イルカの社会/社会性が高いイルカたち
  8. イルカの一生/どうやって繁殖し死んでいくのか
イルカと泳ぐ

イルカの社会

ほとんどのイルカ・クジラの仲間は群れを作ることは良く知られています。個体で行動するクジラもいますが、2~3頭の群れを作るものから、何千頭もの群れを作るイルカの仲間がいます。
なぜ、群れを作るのでしょうか。一番は情報の共有でしょう。エサを探す時に1頭のイルカが見つけてくれれば、皆で食事にありつけます。1頭のイルカが敵を見つければ皆、逃げられます。情報が一瞬で群れに伝わり、利益を全てのイルカが受けられるということですね。

イルカの仲間たちは捕食するときに、皆で協力しいています。これも、群れであることが可能にする利点です。繁殖や学習にも向いています。繁殖が容易になり、バンドウイルカでは他のイルカの子供を世話するメスイルカがいることが知られているように、子育ても容易になります。

群れのサイズはイルカの仲間たちのエサによって決定されることが多いようです。あまり大きな群れになると十分なエサを食べられなくなるからです。
群れには2種類あり、全ての行動を群れでおこなうものと、捕食時にだけ群れになるものがあります。捕食時に群れになるのは、捕食場が決まっており、そのシーズンがあるイルカの仲間のようです。

群れの構成は母子関係が基準にあります。生まれてからしばらく、または何年も母子は共に生活しますが、子供が成体になってしまうとこの関係はなくなるようです。
繁殖可能なオスのイルカの仲間たちはどうしているのでしょうか。オスたちはシャチのようにひとつの群れに何年間もの間、とどまるものや2~3ヶ月、2・3日しかとどまらないものもいます。
御蔵島の周りのミナミバンドウイルカは群れで住んでいるのでしょうか?確かに群れだと思います。しかし、その中にはグループがあります。そのグループ間では個体の移動があります。群れ全体ではどうでしょうか。御蔵島から引越をするグループもありますし、周辺のイルカの数からいっても、外に出ていくイルカがいると思われます。では、御蔵島以外で育ったイルカが御蔵島に定住するのでしょうか?

繁殖の仕方は一夫一妻制、一夫多妻制、乱婚制とありますが、一夫一妻制はなさそうです。一夫多妻制はマッコウクジラなどで、オスの身体がメスに比べて大きく、繁殖できるメスを獲得できるオスが少ないため、オス同士の争いがおきます。この種類のイルカの仲間のオスはその傷跡が身体にたくさん残ります。
ほとんどのイルカの仲間は乱婚制(オスもメスも複数の相手と交尾する)ですが、このなかでも違いがあります。オスが交尾するメスを独占しようとする仲間がいます。交尾の後でもメスから離れず他のオスから守ることをします。もうひとつはオスが極力多くのメスと交尾する仲間たちです。

イルカたちのコミュニケーション、イルカたちは身体の接触が大好きなようですね。身体を触れあいながら泳いだり、つつきあったり、子供を背中に乗せて運んだりします。歯クジラの仲間の群れでは常に、性行動、またはそれに似た行動をしているようです。オスのペニスも感覚器として使われているようで、御蔵島のイルカたちはオス同士でも性的行動を真似したような様子がよく観察されます。(大概は興奮しているので近づかない方が良い)つつきあったり、尾でたたいたり、噛み付いたり、これらは優位性をあらわしているのだそうです。基本的には大きいものの方が小さいものより優位なようです。

接触しながらのコミュニケーション以外は音によるもので2種類。水面をヒレでたたいたり、身体を使って大きな音をたてたりします。もうひとつは音声、イルカの声、クジラの歌と言われる音ですね。イルカの目隠しをしていろいろ実験しますが、これは視覚がなくてもコミュニケーションが取れ、それは声によるものだということが良くわかります。

しかし、太平洋のイルカと大西洋のイルカを一緒にしたらコミュニケーションが取れるのでしょうか?残念ながらかれらのコミュニケーションは成り立たないようです。同じ太平洋でも御蔵島のイルカと小笠原のイルカではどうでしょうか?とても複雑で、まだまだわからないことが多いイルカの社会です。


  1. イルカのことをもっと知ろう
  2. 海棲哺乳類と分類/海棲哺乳類は大きく分けて3種類
  3. イルカの進化/どんな進化で今のイルカ・クジラに?
  4. イルカの泳ぎ/イルカの水中での動きについて
  5. イルカの潜水/なんであんなに深く、長くもぐってられるの
  6. イルカの五感+二感/特殊(?)な感覚、不思議な感覚器
  7. イルカの社会/社会性が高いイルカたち
  8. イルカの一生/どうやって繁殖し死んでいくのか
イルカと泳ぐ

イルカの五感+二感

視覚・・・イルカの仲間の目は水中でも空中でも機能するように、とても弾力があるレンズでできています。水中は浅い水域(太陽光が届く範囲)で利用され、仲間や敵をみたり、ボートを見たりしているようです。空中は、ザトウクジラやシャチなどのスパイホッピングでわかりますね。色はどうでしょう。水深5mを越えると赤が消滅し、最終的には青一色の世界になってしまいますが、飼育されているイルカで実験したところ、その種類は色を認識できたそうです。全てのイルカが色が識別できるかどうかはわかっていません。

嗅覚・・・ほとんど機能していません。

味覚・・・これはあるようだ、という推測されています。しかし、それが何のためにあるのか分かっていません。

触覚・・・とても大切な感覚のようです。イルカの仲間はお互いに身体をこすりあったり、海底にこすりつけたりします。この触覚が絶対的に必要なのは、速く泳ぐため。身体の周りの乱流を感じ取り、皮膚を変形させなければいけないからです。それと、呼吸。鼻が水面上に出た(水から空気に代わる)のがわからなければ、一瞬で呼吸をしたりできません。ですから、かなり敏感な部分があるということがいえます。

聴覚・・・水の抵抗を減らすために、体表の凸凹は少ない方が良いので外耳はなく、皮膚に空いた小さな穴になっています。もちろんここで音を集める事はできません。イルカの仲間は下あごのなかの音を伝達する組織をとおし、内耳に達するように進化しています。
内耳は陸上の哺乳類とは随分違う構造になっています。陸上では左右の内耳に達する音の強弱で音がどの方向から来たか判断できますが、水中では音のエネルギーが頭蓋を通過してしまうため強弱の見分けができなくなり、方向の特定が不可能になってしまします。そこで、イルカの内耳は特殊な組織で覆われていて頭蓋を通ってしまった音を跳ね返すような仕組みになっています。

エコーロケーション(音響探測)・・・コウモリや潜水艦、超音波診断機のようにイルカも音で周りのものの大きさ、形やその距離、性質を知ることができます。イルカが出したクリック音が(エコーロケーション用の音)物体に当たり、跳ね返ってきた音をしらべています。これは歯クジラでははっきりわかっています。

磁気感覚・・・この感覚は全ての生き物が持っていますが、イルカの仲間はこれを利用して、回遊しています。集団座礁などは地球磁気の変化による物ではないかといわれています。しかし、アオウミガメなどは磁気を利用せず海を航海することができるのがわかっていますので、イルカが絶対磁気を利用しているとはいえないようです。

バンドウイルカが捕食の時は低周波の低い音を出すことがわかっています。これは、魚が低周波の音にしか反応しないからかもしれません。また、この低周波の時、仲間のイルカが集まってきます。高い音になると近づくスピードが遅くなることが多いので、この音は仲間を呼ぶ音かもしれないですね。「美味しそうな魚がいるから皆で食べよう!」って誘ってるんだったら面白いですね!


  1. イルカのことをもっと知ろう
  2. 海棲哺乳類と分類/海棲哺乳類は大きく分けて3種類
  3. イルカの進化/どんな進化で今のイルカ・クジラに?
  4. イルカの泳ぎ/イルカの水中での動きについて
  5. イルカの潜水/なんであんなに深く、長くもぐってられるの
  6. イルカの五感+二感/特殊(?)な感覚、不思議な感覚器
  7. イルカの社会/社会性が高いイルカたち
  8. イルカの一生/どうやって繁殖し死んでいくのか
イルカと泳ぐ

イルカの潜水

潜行!どこまで潜ることができるのでしょうか?アカボウクジラという仲間がいて、海溝付近で観察される事が多いため海溝深く潜ると考えられているようです。それ以外ではマッコウクジラが有名で、海底ケーブルに絡まって死亡したものが発見されたことや胃の内容物に深海性の生物が含まれる事があるからです。その深さ、3000m!

ヒゲクジラの仲間はあまり深いところまで潜ることはありません。(100m以浅)潜水時間も普段は5~10分程度です。イルカの仲間も同じぐらいです。中型のサイズのクジラではもっと深く潜ることが分かっています。

人間よりも深く、長く潜れるのはなぜでしょう。
人間の肺も、イルカの仲間の肺もいっぱいにしたところで潜行を始めても酸素はすぐ使いきってしまいます。しかも100mも潜ればイルカたちの肺は潰れてなくなってしまいます。ということはあまり肺の大きさは関係ないということです。では酸素はどこにあるのでしょうか?それは血液と筋肉の中にです。彼らの血液中にはヘモグロビン(酸素と結びつきからだの各部に酸素を運ぶ。赤血球のなかにあります。)が人より多く含まれていますし、筋肉中にある物質(たんぱく質、ミオグロビン)は酸素と結びつくので、筋肉中に酸素をためることができます。この物質により彼らの筋肉は黒っぽい色をしています。

酸素が少なくなってくると血液を重要な部分(脳や心臓、一部の筋肉)以外には送らなくなり、心臓は水面近くの半分以下のとてもゆっくりな鼓動になります。

彼らの呼吸の回数は陸上の哺乳類に比べてとても少ないことがわかっています。これは肺の能力の違いで人は1回の呼吸で酸素の15~20%を身体に取り込むのに対しイルカの仲間は80%以上の酸素を取り込むことができます。

深く潜った時の肺の状態はどうなるのでしょうか。100m(10気圧)を越えるとつぶれてしまいます。痛そうですね。でも、大丈夫。イルカの仲間の肺は潰れるようにできています。水圧で内蔵が肺の横隔膜に押し付けられると、肺は行き場を失い押しつぶされます。しかし、かれらの肋骨は胸骨、背骨との結合が柔らかいため自由に動くので胸郭は傷つかないのです。

ここからはダイバーの方ならわかる話です。肺が圧縮されるので肺の中の空気は高圧になります。タンクからの圧縮空気と同じになります。ということは減圧症や空気栓塞症の可能性が出てきますが、彼らは肺を潰す事により空気を気道に送り、ガス交換が行われにくくしています。また、浮上時の血中にできる気泡は脳に到達する前に特殊な網で血液中から除去されます。
《最近分かったこと》
イルカは深く潜行するとき、ヒレを使わないそうです。ある程度先行すると、身体の動きを止め、沈んで行くそうです。これは、尾びれにつけたビデオカメラで確認されました。


  1. イルカのことをもっと知ろう
  2. 海棲哺乳類と分類/海棲哺乳類は大きく分けて3種類
  3. イルカの進化/どんな進化で今のイルカ・クジラに?
  4. イルカの泳ぎ/イルカの水中での動きについて
  5. イルカの潜水/なんであんなに深く、長くもぐってられるの
  6. イルカの五感+二感/特殊(?)な感覚、不思議な感覚器
  7. イルカの社会/社会性が高いイルカたち
  8. イルカの一生/どうやって繁殖し死んでいくのか
イルカと泳ぐ

イルカの泳ぎ

なんであんなに速く泳げるのでしょう。

まずは泳ぎ方。ドルフィンキックと呼ばれる泳法があり、バタフライで泳ぐ時に使いますね。しかし、同じなのは脚、ひれが上下に動く事だけで全く違うものです。勘違いしないで下さいね。
尾びれの構造から。尾びれの中には骨がなく、硬質のゴムだと思ってください。背骨は尾びれの基までのびていて、断面は飛行機の翼のようになっており水中での抵抗を極限まで減らしています。尾びれの先端は上に曲がりますが、下にはまがりません。これが泳ぎ方の秘密です。

イルカは尾びれを上げることによって進みます。人のフィンキックは下げる時に進みます。イルカの尾びれは水が逃げるように曲がるのですが、人が使うフィンは水を蹴るために曲がります。(そして、水をつかめるように・・・という説明があるフィンがおおい)
イルカは水を後ろに蹴っているのではないのです。イルカが尾びれをあげるとその場所に前方から水が流れ込みます。水がなくなった空間にイルカの身体が吸い込まれるのです。打ち下ろす時はひれが曲がるため、水の流れを崩しません。
尾びれを上にあげるのに使う筋肉は、身体の上にありますからイルカの身体を良く見ると背中に発達した筋肉がある理由です。逆、下ろす時にはあまり力が要りませんのでお腹は目立った筋肉がありません。
この動きのために使われるのは体の約1/3で、上下運動の水の抵抗を減らすためにたてに細くなっている部分も尾の一部です。

次は皮膚。今の水着は魚のうろこなどを研究し発展し、最近ではぬるぬるしている物もあります。私はアンソニーズキーリゾートでイルカに触ってきましたが、イルカの皮膚はつるつるしていて(脂質がでる)、水中を進む時の水の抵抗を減らしてくれますが、それ以外にも大きな特徴があります。水が身体の周りを後方に移動する時、できるだけ滑らかにしたいのですが、身体の傷などの凸凹などで乱流が発生してしまいます。そのときイルカは他の皮膚を変形してその乱流を押さえ込んでしまうのです。あの速く泳ぐ中で!

イルカの波乗り、御蔵島周辺で波が高い時、イルカたちは波乗り(ボディーサーフィン)をして楽しんでいるようにみえます。(たぶん、遊んでいるのでしょう)それ以外に船のへさきについてくるイルカを見たことがると思いますが、あれも波乗りの一種です。

地下鉄の駅のホームにいて、電車が入ってくると風圧を感じますよね。水中でもあれと同じ事が起きます。船が進む時、水をおし、波ができます。(波とはエネルギーです)その波の中の一部に非常に強力な部分がありそれに押されてイルカは進んでいるのです。船のへさきを右左に泳いでいるのはその場所を探すためです。探し出したらじっとしていると、船が身体を運んでくれるので休憩ができるわけです。船の代わりに大型のクジラでも同じ事が起きます。これが大型のクジラとイルカがいっしょに行動する理由の一つかもしれませんね。

御蔵島で船を回すとイルカが集まってきたりしますが、これはイルカが移動している時ではありませんので、きっと遊びとして集まるのでしょう。波乗りを楽しんでいるのかも!または、水の特性を若いイルカに教えるため、若いイルカが覚えるための学習なのかもしれませんね。


  1. イルカのことをもっと知ろう
  2. 海棲哺乳類と分類/海棲哺乳類は大きく分けて3種類
  3. イルカの進化/どんな進化で今のイルカ・クジラに?
  4. イルカの泳ぎ/イルカの水中での動きについて
  5. イルカの潜水/なんであんなに深く、長くもぐってられるの
  6. イルカの五感+二感/特殊(?)な感覚、不思議な感覚器
  7. イルカの社会/社会性が高いイルカたち
  8. イルカの一生/どうやって繁殖し死んでいくのか
イルカと泳ぐ

イルカの進化

イルカ・クジラはいつ、どこから、どんな進化で今のイルカ・クジラに?

最初のイルカの仲間は、今から6500万年前頃(白亜紀の終わりごろ)繁栄していましたが、3800~3000万年前頃、絶滅してしまって、そのころ今のイルカやクジラの種類が台頭してきました。これらは、遺伝学の発展によりずいぶんわかるようになってきたそうです。私も故J.T.モイヤー先生と御蔵島のイルカと小笠原のイルカの遺伝子を調べられないか考えた事があり、鯨類研究所で遺伝子の資料を見せてもらいました。
最初のイルカの仲間は陸上から河口付近へ生活の場を移し、何百万年かけて身体を水中生活に適応させていったようです。しかし、今のイルカとちがい四肢は残っていたらしいです。かれらは偶蹄類(ウシ、シカなど蹄が偶数)と同じ先祖ということです。
写真は、2006年に和歌山で捕獲された、後ろのヒレがあるバンドウイルカ
イルカの先祖(3000万年前)から今のイルカまでは何がどのように進化したのでしょう。
  • 水中で彼らは歩くのではなく泳ぐ・・・運動が違う
  • 水は空気と違い音を良く伝え、体温を奪う・・・生理がかわる
  • 水面呼吸方法と酸素の使い方
  • エサが変わり、取る方法が変わる
などなど、陸上での進化と比べられない過程を経て今のイルカたちがいるんですね。
身体は流線型になり、前足はカジをきるように水かきができ、ひれになり、後ろ足は退化し(痕跡はある)平らなひれを持つようになります。そのヒレを強い力で動かすために、強い筋肉をもち背骨を強くしました。水中の抵抗を減らすため毛皮を脱ぎ、厚い脂肪(独立している)をまとい、新たに魚のように背びれをもち、水中での直進安定性を得ようとしたものや、背びれを使って体温調節するものなど水中への対応が様々な身体の形状、運動機能に進化を与えました。

気道と食道は完全に分かれ、鼻の位置が頭頂部に移動し水面で呼吸をしやすくし、酸素を効率よく吸収できるようになりました。すばらしい聴覚(内耳は残っているが外耳はない)をもち、嗅覚はほとんどなく、視界の悪い水中でも、周りを”見る”ことができます。飼育されているイルカはエサの味にはうるさいそうで、まずいと拒否するそうです。

食事の内容が変わり歯も変わりました。普通は何種類かの歯を持つ哺乳類が1種類の歯のみをもつようになったり、歯が退化してしまったり。

すごい環境への適応、進化だと思いませんか。住む場所(川や湖、海)が分かれ、エサが分かれる(プランクトンや魚など)ことにより、より一層、各種類で進化をしていきます。
今のイルカやクジラを分けるとき大きく二つにグループされます。歯クジラとヒゲクジラです。これは進化の過程で何をエサにするかで分かれました。

ヒゲクジラは歯がかみ合うようになり、その間をでエサをこし取るようになります。効率を良くするため歯がなくなり、皮膚が進化し「ヒゲ」とよばれるこし取るための器官ができました。このヒゲは上あごから生え、垂れ下がってます。こし取られるのはオキアミなどのプランクトンです。しかし、最近ではヒゲクジラの仲間がサンマなどの魚も食べていること、またそれが主要なエサだということもわかってきました。大きな口をあけて丸呑みにするようです。

私は子供の頃からあんな大きなクジラがプランクトンで育つのかな?とずっと思っていたのですが、最近のこの報告で少し、答えが見えた気がしています。
歯クジラというとバンドウイルカやシャチのように上下綺麗にならんだ、細かい歯を想像するかもしれませんが、下あごに2本だけだったり4本だけだったりいろいろです。
鼻の進化も上の2種類はちがいます。潜る時に強い筋肉でふたをするのは同じですが、鼻の穴の数が違い、ヒゲクジラはふたつ、歯クジラはひとつです。


  1. イルカのことをもっと知ろう
  2. 海棲哺乳類と分類/海棲哺乳類は大きく分けて3種類
  3. イルカの進化/どんな進化で今のイルカ・クジラに?
  4. イルカの泳ぎ/イルカの水中での動きについて
  5. イルカの潜水/なんであんなに深く、長くもぐってられるの
  6. イルカの五感+二感/特殊(?)な感覚、不思議な感覚器
  7. イルカの社会/社会性が高いイルカたち
  8. イルカの一生/どうやって繁殖し死んでいくのか
イルカと泳ぐ

海生哺乳類と分類


●海棲哺乳類
クジラ・イルカ類は約80種類(種の分類が特定できないものがいる)のが海に生息していることがわかっていますが、未知のクジラやイルカなどが発見される可能性があります。海牛類はこの300年の間に1種絶滅し、今現在は3種のマナティー(アメリカマナティ、アマゾンマナティ、アフリカマナティ)とジュゴンの計4種類のみです。もう1種類は鰭脚類(ききゃくるい)。これは、アザラシやセイウチ、オットセイなどです。(最近クマ類の仲間だとわかったそうです。いままではネコ目)
海牛類は身体がまるくて、尾びれが水平でイルカに似ており、こちらも可愛らしいです。生物学的な特徴は、歯が次々と生え変わり、乳首は胸びれの後方、脇の下にあります。
鰭脚類はアザラシを想像してもらえばすぐわかると思いますが、体毛があるのが特徴です。岩場や砂浜を歩いている(?)のを見たことがあると思います。足には水かきがありヒレがあり、爪もあります。そして、陸上で繁殖することが他の2類との大きな違いです!


●イルカとクジラの分類
イルカとクジラの区別は非常にあいまいで、大きさで区別し、体長3m以上をクジラ(ホエール)、3m以下はイルカ(ドルフィン)と呼ぶことが多いです。ユメゴンドウクジラなどは体長3m以下ですがクジラに分類されるし、オガワコマッコウ(クジラの最小種)はハンドウイルカより小さいです。また、6種類のネズミイルカ類(小さい)はポーポスと呼ばれますが、メガネイルカ類(ポーポス)はイルカ(ドルフィン)と呼ばれる種類の大多数より大きい、となっています。
御蔵島やジープ島周辺に生息するのは、ミナミハンドウイルカです。ジープ島周辺にはハシナガイルカも生息しています。


  1. イルカのことをもっと知ろう
  2. 海棲哺乳類と分類/海棲哺乳類は大きく分けて3種類
  3. イルカの進化/どんな進化で今のイルカ・クジラに?
  4. イルカの泳ぎ/イルカの水中での動きについて
  5. イルカの潜水/なんであんなに深く、長くもぐってられるの
  6. イルカの五感+二感/特殊(?)な感覚、不思議な感覚器
  7. イルカの社会/社会性が高いイルカたち
  8. イルカの一生/どうやって繁殖し死んでいくのか
イルカと泳ぐ

イルカについてもっと知ろう

2006年の報告

ハンドウイルカが名前を告げて、意思の疎通をしていることが、実験観察で確かめられました。人間以外の動物で、身元情報を伝え合えるのが確認できたのは初めてです。

ハンドウイルカは、自分に特有の「口笛」のようなかん高い声を発し合い、仲間であることを確認しています。相手の口笛をまねしたり、飼育下で物体を指し示す 新しい口笛を覚えたりするため、口笛は名前として使われているのではと推察されていました。研究チームは、単に仲間の声に反応するのか、声が伝える内容に 反応するのかを見極めるため、口笛から声の特徴を電気的に取り去り、海中のスピーカーから流しました。

その結果、14頭のうち9頭は、なじみの口笛から作った音に極めて敏感に反応し、スピーカーの方をたびたび振り向きました。これで、声ではなく内容に反応していることがわかり、どのイルカが発しようと口笛は「名前」として使われていると判断できたわけです。

声 (音)に反応するとは、人間の赤ちゃんがママの声、女性の声、男性の声では反応が違う、ということに似ています。では、内容に反応するとは?人ごみの中 で、名前を呼ばれれば、呼ばれた人が反応します。でも、普通にしゃべっている声には反応しません。反応する場合は、その内容を理解し、興味があるからで す。もし、「落し物ですよ!」という声が聞こえたら、ほとんどの方が振り向き、反応します。また、最近では合成音声がありますが、その声にも人間は反応し ます。誰の声でも、合成音声でも自分が興味があれば反応するわけです。それは、内容がわかる、意味がわかるからです。

同じように、何頭かの イルカの「同じ種類の口笛」から各個体による特徴を取り除くと、「1個体の口笛」ではなくなり、合成音声のようなものが作れます。それを水中に流すと、高 確率でイルカが反応するということから、1個体の口笛だけに反応するのではなく、内容にも反応するのがわかった、ということですね。
イルカへの興味がふくらみましたか?では、もう少し詳しくみてみましょう!
  1. イルカのことをもっと知ろう
  2. 海棲哺乳類と分類/海棲哺乳類は大きく分けて3種類
  3. イルカの進化/どんな進化で今のイルカ・クジラに?
  4. イルカの泳ぎ/イルカの水中での動きについて
  5. イルカの潜水/なんであんなに深く、長くもぐってられるの
  6. イルカの五感+二感/特殊(?)な感覚、不思議な感覚器
  7. イルカの社会/社会性が高いイルカたち
  8. イルカの一生/どうやって繁殖し死んでいくのか
イルカと泳ぐ

イルカとは

イルカとはどんな動物?と聞かれたら何と答えますか?

ほとんどの方はイルカといわれ想像するのは、水族館でショーをするハンドウイルカでなないでしょうか。クジラといえば沖縄や小笠原で見られるザトウクジラやピノキオに出てくるクジラかもしれないですね。
イルカやクジラはまとめて「クジラ・イルカ類」と呼ばれています。または鯨類。かれらは人と同じように、肺で呼吸し、出産し、子供を育てます。動物-脊椎動物(魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類)-恒温動物(鳥類・哺乳類)-哺乳類で、魚ではないから、えらがないし卵も産まない。しかし、クジラ・イルカ類、他の哺乳類(海牛類をのぞく)と違い、完璧に水中生活に適応しています。水から陸上にあがることがない、ということですね。
すぐわかる特徴として、イルカやクジラの仲間の体格差はすごい!一番大きいシロナガスクジラだと一番小さい種類のイルカより体長で、20倍弱、体重では3000倍(約150t)もある。さすが、地球上最大の哺乳類!

私が一番感動したのは、ハンドウイルカが鏡を認識している姿です。自分の背中を鏡に映して観察する様子は、大変可愛らしかったですよ。これは知能が高いといえるのでしょうか。イルカと人、または他の動物の知能を比べる意味がないのは分かっているが、なんとなく比べてしまいます。ハンドウイルカは表情を作ることはできないが笑っていると表現する事が多いですが、これは人間がそう見えるだけの話です。

イルカの知能については誤解も多いですが、脳の重さの体重比は人間についで2番目といわれています。彼らがショーをするのは、うまくいけば魚がもらえる、という御褒美があるから覚えるのです。野生でも、飼育されているイルカでも言葉を知っていることは、分かっているようで、その応用で、文を理解することもでき、人が指示を与えて行動する事もできる(エサがもらえる訓練によって)。ボール・運ぶ・カゴと言葉と意味を覚えさせ、その順に伝達するとボールをカゴに運べるし、もしカメラという言葉を覚えさせ、カメラ・運ぶ・カゴと伝えると、カメラをカゴに運ぶ事もできます。しかし、今のところ彼らが文を作ることはできないだろうといわれています。しかし、御蔵島で海藻やビニール袋で遊んでいる彼らを見るともしかして、と思いたくなります。

イルカに興味を持たれた方は、もう少し詳しく勉強してみましょう!
ところで皆さんはイルカ、いるか、海豚、どうやって書きますか?


  1. イルカのことをもっと知ろう
  2. 海棲哺乳類と分類/海棲哺乳類は大きく分けて3種類
  3. イルカの進化/どんな進化で今のイルカ・クジラに?
  4. イルカの泳ぎ/イルカの水中での動きについて
  5. イルカの潜水/なんであんなに深く、長くもぐってられるの
  6. イルカの五感+二感/特殊(?)な感覚、不思議な感覚器
  7. イルカの社会/社会性が高いイルカたち
  8. イルカの一生/どうやって繁殖し死んでいくのか
イルカと泳ぐ